なんだかだるい、このところ疲れやすい、食欲がないといった症状が続いているにもかかわらず、病院で検査をしたところ結果は異常なし。病気とは診断されなかった。でも、頭痛、めまい、肩こり、冷え、喉のつまり、目のかすみ、手足にしびれなど、体の不調は消えない・・・このような状態を「未病」といいます。漢方の考え方では、身体に必要な気と血が不足し、五臓六腑の働きが弱くなっている、つまり病気に対する抵抗力が低下している状態です。原因は過労や、ストレスなどで、これらを放置しておくと、生活習慣病などの本格的な病気になってしまいます。
未病は漢方(東洋医学)の考え方のひとつで、古代、中国で生まれました。未病という言葉は最近、急速に広まりつつあります。近年は「Mibyou」として、世界的にも認められるようになっているそうです。
西洋医学とは異なり、漢方では未病も治療対象となる病気と考えます。未病は一種の「半病状態」「半健康状態」のことで、すでに病気に向かっている状態だからなのです。
「未病」と言う言葉は、中国後漢時代(約2000年前)、科学一般の教科書として使われていた『黄帝内経(こうていだいけい)』という書物に初めて現われます。この中に「聖人は未病を治す」と書かれていて、軽いうちに異常を見つけて治療するという、病気予防の重要性がすでに認識されていたことがわかります。
また中国漢方には 「上工(じょうこう)は己病(いびょう)を治さず、未病(みびょう)を治す」という教えがあります。「上工」 とは名医のことをいいます。そして「己病(いびょう)」 とはすでにかかってしまった病気のことです。現代語に訳すと、つまり「本物の名医は、すでにかかってしまった病気はもちろん、これから起こるであろう病気も予測して治してしまう」といった意味です。古代の人たちも健康であることの大切さを知っていたことが伝わってきます。
近年の医学でも、予防医学に注目が集まっており、漢方はもちろんのこと、鍼灸、マッサージ、養生、気功や太極拳なども、効果が期待できる治療法として見直されています。また漢方を用いて、人間がもともと持っている自然治癒力を高めることも、未病防止につながります。
体調が思わしくないので検査をしたが、目標となる原因がハッキリつかめないときは、そのまま放置しないで、専門家や漢方を採用する医師、病院に相談しましょう。
漢方の治療を行うには、漢方専門医または漢方専門薬局に処方を選んでもらう、漢方を扱う病院や薬局で相談するといった方法があります。どちらも話をよく聞いてくれるかがどうかが大切な条件といえます。漢方は患者の自覚症状や生活、病歴、精神状態などの情報を基に、薬を処方していきます。時間をかけて話を聞いてくれるところが望ましいでしょう。
また、漢方薬はある程度長期服用することが多いので、予算も含めたあらゆる相談に応じてくれるところがベストです。
注意したいのは、一方的に高価な製品を押し付けるようなところです。漢方薬の治療に際して、予算や使う薬の種類などの選択肢を的確に提示してくれるのは大切な条件といえます。病院でも、煎じ薬だけは保険のきかない場合が多いので、確認してから治療をはじめることをおすすめします。漢方で体の守備力を高める=治癒力・回復力を高めるということは、効果の大小はありますが、すべての病気に対してプラスになるといえます。自分に合った漢方専門医、病院を選んで、適切な治療を受けるようにしましょう。
なお漢方薬は、薬局で市販されている痛み止めや総合感冒薬(風邪薬)のように、多くの人に対応できるように作られてはいません。個人の体質や症状に合わせて処方されたオーダーメイドです。症状が同じであっても、体格や体質が違えば、効果も変わってくることがあります、自分用に処方された漢方薬が、ほかの人に合うとは限りません。症状を悪化させてしまうなど、思わぬ副作用が出ることもあるので、他人に分けたり、あげたりするのはやめてください。